第8回 電子カルテ 〜ローカルとクラウドどちらがいいの?〜


【2010年クラウド解禁から医療は新しい流れが生まれた】
 電子カルテが世に出てから早いことで、もう20年が経ちます。今では診療所の1/3は電子カルテが導入され、そう遠くない未来に50%は越えることが確実です。2人に1人が電子カルテを使用する時代。ある意味市場は成熟していると言えるでしょう。そんな成熟した業界に2010年医療分野でクラウドが解禁されてから新しい流れが生まれてきています。それは、クラウド型の電子カルテです。
 従来は、電子カルテはセキュリティ面を考え、ローカルにサーバーを置くケースが主流でした。政府も患者さんのトップシークレットの情報が詰まったカルテをクラウドサーバーに公開して、それが流出したら責任が取れないと考え、長らくクラウドの解禁を送らせてきました。しかしながら、世の中がなんでもクラウドですからその流れには逆らえずクラウド解禁となったのです。


【クラウドは安いのわけ】
 クラウドの場合、サーバーは院内にありませんのでそのサーバーを管理することから解放されます。OSの変更やちょっとしたバージョンアップ、そういったことを院内で行うのは非常に手間であり、ましてメーカーが訪問して作業を行うわけですから、その費用は直接クリニックの負担となります。そういった意味でクラウドが安くなるという話は、人件費が下がるためなのです。今のところ、ローカル9割、クラウド1割が電子カルテの普及状況です。これが8:2, 7:3 と徐々に比率が変わっていくことでしょう。ただし、その時間が1年なのか2年なのかは私にもわかりません。それくらいクラウドへの恐怖が医療界には根強くあるのです。

 
【インターネットが止まったらどうする?】
 少し話は変わりますが、クラウド電子カルテはインターネットをつないで操作しますので、インターネットのスピードに多く依存します。インターネットが遅くなれば、電子カルテは遅くなります。インターネットが止まれば、電子カルテは止まります。当たり前のことですが、我が国のネット事情を見ていると、欧米諸国や隣国韓国の環境とは大きくかけ離れています。この環境が整わなければ、クラウドの電子カルテは遅い、切れるというレッテルを貼られてしまうのです。


【スピードを好むクラウド技術者 vs なんでも要望に応えたいローカル技術者】
 また、クラウドの開発技術とローカルの開発技術にはまだまだ差があります。クラウドの技術者がシンプルなものを好み、スピードを重視するという思想が多いため、ローカルに比べるとなんとなくチープでシンプルな印象は拭えません。ローカルの技術者は、なんでもできるよう教育されてきました。そのため、システムでできないものはない、時間や工数をかければできると信じる技術者が多いため重厚なイメージになりがちです。ただ、リリースまでの時間がかかりすぎるために、リリースをしたらもうOSが変わっていたなんていう笑い話もあるわけです。


【クラウドローカルいいとこ取りのハイブリッド電子カルテが生まれる?】
 これからのキーワードは、クラウドの良いところとローカルの良いところを組み合わせてハイブリッドな電子カルテが生まれていくのではないでしょうか。インターネットが止まっても、その時はローカルで対応する、セキュリティの高い情報はローカルに分散しておくといった工夫が可能になるのです。


【まとめ】
1)クラウド型電子カルテは人件費が抑えられるため安いのは当然
2)ネット依存が強いため普及はネットのスピード次第
3)クラウドの良いところとローカルの良いところを組み合わせて、最適な電子カルテを探そう

No tags for this post.

「問診票.com」医師のための問診票サイト